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愛のため。

第148章 おわり。

たくさんね。
本当は最後だったらたくさんの
伝えたい言葉があるんだけどね。
飲みこんだ。
少しだけ伝えて、
今回は飲みこんだ。
忘れないとか覚えてる、とか
もうそんな言葉を使うこともなく。

昨日のいつも通りの短い時間。
いつも通りのまたね。
だって来週会う約束をしていたから。
多分最後の日になるだろう約束を。

でもその前に唐突に。
プチン、と突然ハサミで
切られてしまった感じ。
最後の最後まで読めないな。
あなたのすることって。

本当のことはよくわからない。
聞かないことにしたから。
聞きたくないから。

ただ私に腹をたてただけかもしれない。
以前のように。
なんでここまで
言われないといけないの?って。
あなたの為に思って言った言葉に対して
怒ってる、
としか受け取られなかったのなら、
もう仕方がないかな、って思える。
今回は。

そうなんだ。
こんなことズルズルしてても仕方ない。
やっぱりどうしようもなかったんだ。
何を言ったって結局俺のこと選べないじゃないか、って言われたら終わり。何も私は返せない。

涙を流しながらの別れでは
またズルズルと繰り返す。
だから唐突な終わりで良かったんだ。
最後にあなたにしては
とても上手く終えてくれたんだね。

本当はね。
ごめんなさい。
優しくできなくてごめんなさい、
って謝りたかったけど
飲みこんだ。
最後に自分の保身なんかしても、
仕方がないなって。

せっかく突き飛ばしてくれたのに。
終えてくれたのに。
だから潔く。
でも感謝だけは伝えたくって。
ありがとうをいっぱい。

これで良かったんだよ。
後から思える。絶対に。

そして楽しかった思い出だけが
時折心によぎるように。
それまで少し時間はかかるだろうけど。

今はただあなたとのことを
何も思い出さないように、
あなたのことを
何も考えないように、
ひたすら
目の前にある私の生活を過ごすよ。
ただひたすら。

涙を見せないお別れだから、
いつもとは違うから、
本当にお別れできるんだね。

涙が出ない。
唐突すぎて、
あなたを失ったことを、
私は受け止めきれては
いないのかもしれない。

今はひたすら何も考えないように。


今までいっぱいいっぱいありがとう。
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