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官能的大恋愛

第3章 リアルな感覚を求めて

気安くし過ぎた。

私の目の前に居る人は、タレントやモデルと同じで、私たちからしてみたら手の届かない雲の上の人なのに。

「ちょっとだけ今ここで、投稿した小説読ませてよ」

そう言われて、私はスマホを取り出して投稿サイトを開いて、スマホを渡した。

Nagは受け取ると、自分のスマホを取り出した。

私は俯いて、黙って感想を待つ。

……。

どうかな…ダメかな…。

その物語のモデルは、Nag。

あなた自身なんだよ。

私の瞳に、映ったあなた自身。

優しくて、温かくて、柔らかくて。

抱かれる度に、心が安心するの。

包まれて、守られている。

さっき、あなたが私に言ってくれた通りに、私があなたを物語の中で描いて文書で綴っていく。

……。

まだ、何も言ってくれない。

私はね、ただのエッチなだけの話では、終わらせたくないの。

自分がゴソッと別人のように変わってしまうくらいの、熱く、深く、濃い恋愛を表現したい。

それが私のコンセプト。

どうかNagには、私の伝えたい思いが届きますように。

……。

ギュッと目をつむって、俯いて拳を握り締める。

……。

「はい、これ返すね」

「はい…」

あれっ?

あっさりとスマホを渡されて、

「じゃあ、俺はそろそろ失敬するね」

伝票を持って、立ち上がる。

もう、帰っちゃうの?!

「あの…小説は…」

私の問い掛けに、

「君の読みは当たりだな…リアリティーがない…じゃあね」

……。

ガーーーン!!

Nagは、さっさと会計場所に一人で行って、喫茶店から出て行ってしまった。

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