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官能的大恋愛

第9章 もう若くない中年

……ん?

「アイス?」

ナガタッチは私に聞くから、

「うん…」

私はうなずきながら、何のどこの匂いかを嗅いでいた。

「じゃあ、アイス2つ」

腕を上げて店員にピースして、カッコよくナガタッチは言った。

その時にようやく、ナガタッチの香水の匂いだと気が付いた。

「ん?…どうかしたの?」

私はボーッと、その香りを嗅ぎながら、ナガタッチも香水付けるんだなぁ~なんて考えていた。

「いい匂いする…」

「…うん…たまに気分で…」

「そうなんだ…」

「香水、興味有る?…」

全然興味ないって、言ってもいいかな。

このラブラブな雰囲気で。

「…いいよ、素直に言って?」

甘い感じの声で、本音を引き出そうとする。

「興味…ないです…ごめんなさい!」

私は素直に答えた。

「実は俺も。俺さぁ、結構口下手で、本音に詰まるタイプでさぁ…。そんな時にこの香水が、俺の助っ人的な役目を果たしてくれる訳だよ」

ナガタッチ、意外と奥手?

…には、あまり見えないけど。

「助っ人的?その香水の匂いが?…どういう?」

コイツ、また変な事を言い出すな。

「うん…好きな女の子をねぇ、もっと深いエリアに誘い込むために…意味、分かる?」

…深いエリアに誘い込む?

ナガタッチは、水の入ったグラスのフチを2本の指先で、柔らかくなぞる。

そして、真剣な目を私にチラッと向けた。

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