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官能的大恋愛

第1章 幸せを感じる時

「幸せって何の事を言ってるの?結婚したら幸せになれるとでも思ってるの?この、ワタシが!それをこの先に実体験するのは私なんだよ?…勝手に私の人生を結婚なんて言うククリで、幸せだと決めつけないで!…」

私の人生は私が決める。

私の一生は、今の一度しかないんだから。

結婚だとか、嫁だとか、孫だとか、リフォームだとか、親孝行だとか。

本気でその日本語、聞き飽きてイライラするの。

「あんた考え方、おかしいよ」

母は、溜め息を付いて言った。

「おかしくて上等だってば。それが普通じゃないならば、私はその辺りで普通に生きてる平々凡々の女たちとは違う道に進んで、それを誇りに生きていくわ!」

「理想はあくまでも理想で、届かない所に向かって進んで行く過程を、理想と言うんじゃないのかな」

父は、淡々と私の意見を否定した。

「それとも今のおまえは、それ以外で幸せだと心の底から感じる時があるのか?」

……っ。

父の問い掛けに、何も返せない。

私が私の心に温かさを感じる時が、幸せだと感じる時。

私が無意識のうちに笑顔で夢中になれる時が、幸せだと感じる時。

それは、やっぱり……。

一人で官能小説を書いている時。

男の美学を追究しながら、人間の有りのままの姿を思い浮かべながら、文書を書き込んでいる時。

ただその時だけが、自分が自分で居られる時。

「私は結婚なんてしなくてもいい。小説一本で頑張っていきたい…」

私は食事を済ませてまた、自分の部屋へと引き籠った。

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