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夏の夜のような

第6章 俺の逃避行

「……あなたが彼だったらよかったのに…………。」

気づいていた

お前があいつのことを好きだってことは

血を啜った手紙にはあいつへの想いが綴られていた

俺がずっと想っていた事実と

あいつが死んだという事実

俺の恋愛ごっこはあいつの言葉で

……終った

あいつは笑う

いつものように他のヒロインを引き連れて

あいつが死んだ事実なんてきれいごとで塗り固めて

あいつの頑張りを無駄にしないように元気に生きようだなんて

あいつに相手にもされなかった俺を嘲笑うように笑って嗤って

「おはよう。今日もいい天気だね!」


…………死にたい




























現実から逃げようとする脇役の話

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