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貧乳ヒメと書かない作家

第19章 ホントの気持ち

そのほぼ同時刻。

千春は桐生を引っ張って河原をズンズン進んでいた。

「おい、千春っどこいくんだよ」

しばらく離れると千春はやっと口を開いた。

「もうすぐ如月先生がきて、渡来野さんを引き取ってくれるところだから、桐生先生がいると面倒になると行けないから、あぁっ!」

千春は思いっきり転んでしまったのだ。

「おぃ、大丈夫か…」

「あたた…ずっと変な体勢で座ってたから、足が痺れて…」

千春は座り込んで治るのを待った。

「え?さっき来たばっかじゃないの?」


あ。
うっかりした。

千春は心の中で舌を出した。

「もしかして…聞いた?」

桐生が恐る恐る聞いた。
「あー…うん」

桐生は口元を隠してしばらく黙っていた。

暗がりで顔はよく見えなかったが、きっと赤らめているに違いなかった。
やがて桐生は千春に背を向けてしゃがんだ。

「乗れよ」

え…。
おんぶしてくれようとしてんのね。
痺れは治りかけてるけど、


まいっか。


千春はゆっくり桐生の背中に乗った。

「よっと!」

掛け声の割に桐生は軽々と千春をおぶさって立ち上がった。






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