貧乳ヒメと書かない作家
第19章 ホントの気持ち
桐生は千春を乗せて、黙って河原の道を歩ていた。
視界が全然違う。いつもよりうんと高い。
星空との距離が近くなったみたい。
先生の背中、おっきくて暖かくて広いな。
普通のお父さんてこんな感じなのかな…。
家庭に恵まれなかった千春はそんなことを考えていた。
「千春?」
桐生はやっと口を開いた。
「怒って…るよね」
恐る恐るという感じだった。
「もう怒ってない」
千春は可哀相に思えて、桐生がいい終える前に即答した。
「結局誤解だったみたいだし、それに…」
千春は桐生の首に手を回してぎゅっと力をこめた。
いいこときけたからね…。