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貧乳ヒメと書かない作家

第27章 秋が来たんだなぁ…

松田は明かりの点く廊下をあるいていた。

目的地のない散歩。

この辺一周くらいすれば大丈夫かな。


通路沿いに自動販売機が見える。


何か温かい物でも買おうかな。

松田はズボンのポケットに入れてあるはずの財布を出そうとしたが、


「ぁ…浴衣だった」


仕方なく自販機の隣のベンチに座った。今部屋に財布を取りに戻るのはまずいだろうな。


ふと、松田の脳裏にある選択肢が浮かび上がった。

―――――――――――
①ひたすら待つ




②今すぐ戻って着替え中に鉢合わせする




③ドアの前で聞き耳をたて想像しながら待つ。



―――――――――――
……
お約束だなぁ…コレ。

エロゲー・女の子ゲーに有りがちな選択肢。


少なくとも大学生の頃はお約束だった。

社会人になってから忘れかけてた。


久しぶりに秋奈と会って当時の自分自身を思い出したのかな。


松田が座るベンチの前にガラスで仕切られた小さな中庭があった。
茶色く染まった落ち葉がひらひらと舞い降りた。


「秋がきたんだなぁ…」

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