貧乳ヒメと書かない作家
第29章 FURUSATO
裏道を進むと住宅街に出た。どの家も年期が経っているように見えた。
「着いたぞ」
「ここって…」
平屋の一軒家の前に立たされた千春。
「俺んちだ。実家」
千春はジブリ映画に出て来る家みたいに草や木に囲まれ、壁には蔓が這っていた。
なかなか広そうだ。
「先生の家?ここが…」
「今は弟が住んでるけどな。今はまだ仕事で留守かな。もうホテル暮らしする必要ないからさ、
今度からこっちな?」
「ああ、そっか。だからか」
場所教えとかないとわかんないもんね。
そうだよね。
あたし、なんかがっかりした気分なのはなんでだろう。
ていうか弟いたんだ。