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貧乳ヒメと書かない作家

第29章 FURUSATO


都会慣れしてしまった千春には道に沿って並ぶ垣根や人通りの少ないこの道は新鮮だった。


お店と言えば、自宅兼職場らしき理髪店や精肉店があるだけで見慣れたコンビニはない。
(千春がコンビニかと思ったお店は、よくみたら7時には閉まる個人商店だった)


ていうか昼間なのに人居なすぎて怖いんですけど!


「どうしたキョロキョロして」

桐生が声をかけた。

「なんか人いないなぁと思って」

「まぁここらはいつもこんなんだけどさ。てか、ちゃんとついて来いよ?

……


ほら」





千春はそっと差し出された手を見つめた。






『お手』だ。


もちろん犬扱いされてるんじゃないよね。



千春はその手にそのまま手を重ねた。


「ばっか。そうじゃないだろ」


「えぇ?」


やっぱり犬扱い?!
なんだぁー…。


桐生は千春が離しかけた手をぐいととり、指をきっちりと組んだ『恋人繋ぎ』にした。


「行くぞ」


「……!」



先生、ひとつお願いがあるの。



今あたしの顔見ないでね。



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