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貧乳ヒメと書かない作家

第8章 30分前のこと


松田が着く30分前のこと

千春は桐生に呼び出されて早めに仕事場にしているホテルに行った。


「桐生先生、どうしたんですか?」


桐生は机に原稿用紙を広げて腕を組んでいた。


「ちょっと行き詰まっちゃってさ…」

千春は斜め後ろから桐生を見ていた。


やっぱり作家らしく悩んでいる姿はかっこいい、なんていうか風情があるなぁ…


なんて考えていた。



「ん…いまいち感じがわかんなくてさ」



「先生でも表現に迷うことあるんですね」


「結構こういう仕事してると表現にも偏りがでちゃうし、そういうのって読者もあきるだろ。
ストーリーに重みを出したいときはその時その時にあった空気ってものがあるし」


「そうですね、マンネリが過ぎちゃうとやっぱり読者も離れていきますし…」


「一応書いてみたんだけど、ちょっと読んでみてくれる?」


「いいですよ」


千春は桐生に近付いた。

そして不意に千春は思った。




なんで早めに呼んだのかな…




気付いた時すでに遅し…


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