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貧乳ヒメと書かない作家

第12章 松田、手玉にとられる

駐車場まで如月は松田を見送りに来ていた。こんな時間でも外は汗ばむ程の熱気だった。

「あの…如月先生」

「なぁに?」

「あの…」

松田は困ったようは表情で何か言い淀んでいた。
「いえ、なんでもないです。あの、おやすみなさい」

「うん。今日は本当にありがとう。おやすみ、裕哉くん」




如月はそのまま松田の車を見送り、部屋に戻った。


「まずは一歩、か」


呟くように言った。


5年間封印してきた桐生への想いを遂げることを。

一度は諦めたが、その5年間、ほかのそれと同じような想いになることはなかった。


如月が桐生にたいして抱いた深い愛情は消えなかった。

松田はその目的を達成する駒の一つでしかない。

あの子のおかげで桐生とあの新人との関係は掴めた。

千春と桐生を離さなければ…



アラフォーだなんて言ってられないわ!


そんなわけで如月は焦っていたのだ。



でも…裕哉くんも結構悪くないかな。


「なんて…ね」

夜は静かにすぎようとしていた。





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