貧乳ヒメと書かない作家
第13章 新人指導
――洸文社 編集部にて
「おはようごさいます!」
千春は新入社員らしく挨拶をした。
相変わらず山積みになっている資料の間から、ちらほらと社員の返答が帰ってくる。
えーっと松田さんは…
いたいた。
「松田さん!
今日もご指導よろしくお願いします!」
「風戸さん。おはようございます…ふぁぁ…」
千春とは対照的に朝一から大欠伸の松田。さっきまで居眠りしてた様子で、机に置かれた資料の痕が顔にうっすら見えた。
「あれ、大丈夫ですか?寝不足みたいですけど」
時間に厳しい松田がこんな様子なのを見たのは千春にとっては始めてだった。
松田のほうはと言えば、大きく伸びをしてからまたあくび。
「んー昨日ちょっと…ね」
結局昨日は妙に目が冴えてちゃんと寝付けなかった。男のくせに情けないな…自分。
今日は部長に桐生の微妙な返答の報告をしないと…。出張から帰ってないから、午後か。
きっと眠気も吹っ飛ぶくらいに怒鳴られる。
ちょうどいいや…。
松田はそんなことを考えていた。