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貧乳ヒメと書かない作家

第13章 新人指導

「さて、今日は少し話そうか」

松田は眠気を噛み殺しながら、編集部隣にある、小さな応接間に千春を通した。

ここは普段は来客や作品の持ち込みなんかが来た時などに使われている部屋だ。

編集部のゴミゴミしたフロアとは違い、すっきりと整頓され、そこには小さな机にソファがあり、その机の上にはこじんまりと花が生けてあった。


「ま、適当に座って」松田に促されるまま、千春は革張りのソファに腰掛けた。

「話しってなんのですか?」千春が聞く。

「もうわかってるはと思うけど、桐生先生と言えば、自分勝手で、わがままな性格なんだ。そこでね、少しながら助言をしとこうと思って」

「は、はい!」千春はポケットからメモを取り出す。

ここの所桐生の所に行ってばかりで、教育指導は受けて来なかったので、千春も気合いが入る。

「桐生先生はね、作家としては一流なんだけど、引きこもってばっかりで、なんというか、溜まりやすいんだよね」

「溜まりやすい?」

「あのひとは書く時は書くけど、一回に根詰めすぎてストレスが溜まりやすいんだ。一般的な息抜きを知らないっていうかな。だからだと思うんだけど、それが一番身近な僕ら編集にぶつけるみたいなんだよ」

千春は黙ってうなづく。

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