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ぼんやりとする。

目を開けたら見たことのない場所で、景色がグルグル回っているようだった。

ぎゅっと目を閉じ、その不快感をやり過ごす。

再び周りを確認するために目を開けた。



病院・・？



ああ、なんかバイクが突っ込んできたんだっけか。

身体中の感覚が鈍い。

足なんか動かそうとしても、全く動かない。


母親と姉と父親の姿が見えた。





あれ？課長は？
あの人は無事だったのか？
折角のデートだったのに。

そういや、課長泣いてたような・・

何だったっけ？


「いやだ」って言ってたよな。

俺のお見合いが嫌なのか？
俺のこと好きとか？


まさかね。



都合のいいように解釈している自分に笑えた。

「あっ・・たぁっ・・」
笑った拍子に、体のあちこちが軋んだ。
微かな痛みが広がった。




「あ！秋？お母さん、秋が目を覚ました！」

姉のキンキン声が響いた。
ナースコールを押してから、バタバタと俺の周りは忙しく動き始めた。

医師が来て現状を説明してもらう中、動けない俺はその流れにただ身を置いていた。


もう少し打ち所が悪かったら死んでた。
と、医師が脅かして笑った。




死んでたかもしれない。
それは結構ドカンと俺の胸にのしかかって来た。

いつ死ぬかなんて、誰も分からないんだ。

明日が必ずくるなんて、幻想だ。



もし、今回死んでたら、俺一生後悔してたな。