好きだって?
第1章 間違い
ドクンッ…
『あなた限定』、そんな言葉初めて言われたから新鮮だった。
一瞬だが胸が高鳴った…
おいおい、俺は何野郎にときめいてんだ?
バカみてぇ。
あれ?
今のコイツの発言、どう言う意味なんだろうか…
えーっと、俺への告白と受け取っていいのだろうか…
告白ならば俺はそれを受け入れる訳にはいかない、
昨夜男と関係を持ってしまったが、
俺はちゃんとしたノンケである。
それにこいつもまだ元の道に戻れる可能性は充分にある。
だから俺は頬に添えられた手を振り払って言った。
「…まあ、誘うような事した俺も悪かったし、昨日のことはお互い様って事で…
俺もう帰るから」
するとそいつはびっくりしたような目をして言い返した。
「…帰るって、あなたまだ裸だよ?」
「…あっ!」
今全裸だと言うことをすっかり忘れていて、
指摘されたことに顔が一気に熱くなる。
高速で服を着ると鞄をひっ掴み、
部屋のドアのブを回した。
「…えっ、本当に帰るのっ?
ちょっと待っ…せ…」
そいつの言葉は厚みのあるドアに遮られた。
最後に何を言おうとしていたのか気になったが、俺は逃げるようにホテルを後にした。