
好きだって?
第4章 再び冷戦
一瞬の沈黙のなか、胸ポケットから眼鏡を取り出し、
掛けたかと思うと、微笑んで言った。
「……僕は君が嫌いだよ
でも、ありがとう、あの人を救ってくれて
ほんと感謝してる」
「……‼︎」
「……?」
よく、意味がわからない。
ふと、晋を見ると、顔が強張り、青ざめて行く。
「……晋?」
「……お前…は」
「……ふふっ、やっと思い出した⁉︎
そう!僕はあの時の地味ーな男の子!
郷見 凪都(サトミ ナギト)でーす!」
「……まさか…」
「ごめんね、分からなかったよね
イメチェンして、眼鏡も外しちゃったし、背も伸びたし、こんなに口が達者じゃなかったしね」
「……」
「僕も最初は分からなくて、何処かで見たなー?
くらいだったんだけど、
名刺見て思い出しちゃった」
「…郷見」
「何しろ、君の方こそ変わっちゃったからね
姿も中身も」
二人の間に重い空気が流れる
「……っ…
おい!また二人で話し進めんじゃねえよ!
どーいうことだよ」
「……ん?
ああ、あのね、」
郷見と名乗った奴は、俺の方を向き、状況を説明しようとする。
「晋君は僕のお兄…」
「同級生だ」
「え?」
郷見の話を遮って晋が言った。
