テキストサイズ

私の幸せ

第4章 出会い



おばあさんはすぐに寝る準備をしてくれた


「ゆっくり休みなさい」



千里がベッドの中にはいるとおばあさんは千里の頭を撫でた


千里はふいにこみ上げてきて泣き出した


泣くのをとめようと唇を噛みしめるが声がでてしまう


おばあさんは千里の手を握りそばにいてくれた



千里は今までのことを全部話した


家でつらかったこと

いじめ


おばあさんは涙を流しながら聞いてくれた


「私の話もきいてくれるかい?」

おばあさんが遠慮がちにきいてきた


「はい」

「私にはね…夫がいたんだ。そして孫がもう二人…」

「…」


「夫は病気でなくなり孫の二人は行方もしらない」


「わたしは…ずっと寂しかったんだ…」


「そうだったんですか…」


「あなたは…千里ちゃんは、孫の1人にそっくりだよ…」



千里はおばあさんの手を強く握った


「わたし…力になります
できることがあったらなんでも言ってください」



「ありがとう」



「はい―――」



「さぁ、もう寝ようか
変な話をしてしまってすまないね
明日は塚左も紹介することだし、」



「つかさ、って…?」



「あぁ、孫の名前さ
夏風塚左(なつかぜつかさ)だ」



「塚左…」



聞き覚えのある名前
誰だっけ…


思い出そうとすると頭に激痛が走った


いっ…


「!?
大丈夫かい?疲れているんだね、ごめんよ」



「いえ…
あの、寝る前にもうひとついいですか」



「?」



「おばあさんの名前を教えてください」



「私の名前かい?
わたしは…森谷秋子だよ」


「森谷…」


やっぱりどこかで聞いたことがある

でも、思い出せない…


「さぁ、おやすみなさい」


「おやすみなさい…」


千里はすぐに眠りについた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ