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プリンセスを護衛

第38章 美憂の涙と優馬の決意

優馬は女の言葉を遮って言った。
静かで鋭い声だった。
しかし、優馬だって怖い訳ではない。
本当は膝が震えてしまっているし、逃げ出したくってたまらない。
でも、お嬢様の護衛をしているこの立場上逃げる訳にはいかない。

「強がり言ってられるのも今だけよ。」

女の嫌味にも優馬は素知らぬ顔をしていた。
彼は表情を隠すのがかなり上手である。

「別に強がってる訳でもない。」

女は懐から黒光りするものを取り出した。
拳銃だ!
優馬の顔からサッと血の気が引いた。
元々、色白の優馬だ。
薄暗い展望台の中では一層青白く見えた。

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