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化け物が恋するのは駄目か?

第1章 第一の掟破りの恋


俺は「化け物」。
でも、常に化け物ってわけじゃないんだ。
普段は普通の人間のフリをして、
昼間は人間の住む世界に居る。
そう、君の近くに潜んでるかもしれない。

一応俺だって人間界でなら、高校生だ。
高校生の時の名前は
「高野康太」。
化け物の時の名前は
「No,421 コターリー・タニス」。
通称「コターリー」。
いつも名乗るのが恥ずかしいくらい
変な名前だ。

俺の住む世界には変わった掟があって
絶対に破ってはいけないものがある。
それは、






「人間と恋をする事の禁止」


俺は既にこの掟を破ってしまった。
だけど国王である雅人の「お気に入り」である
俺への罰は易しいものとなった。
「一週間人間界へ行く事を禁止」されただけで許してもらえたんだ。





一週間人間界へ行けなくなった俺は毎日のように
小春というとても美しい彼女の事を想っていた。
ふと気付いた。
小春に、小春に俺が化け物だということを
打ち明けてない。
打ち明けるべきか。
打ち明けないべきか。
打ち明けてしまえば俺は楽になれるかもしれないが、
小春はどうだ?苦しむに違いない。
それならば打ち明けなければ良いのか。
打ち明けなければ、俺が罪悪感におかされてしまう。
小春か俺か。

俺は自分可愛さに、
小春が苦しむ方を選んだ。
「俺さ、化け物なんだよね。」
「もう、冗談はやめてよ!笑」
「冗談じゃねえよ。」
「じゃあ化け物になって?笑」
まだ信じてない。じゃあ、醜い化け物の姿を、
小春に。純粋な彼女に。見せる事でしか、
証明できない。
それなら、仕方ないのか。

「醜いよな」
「ーっ!!
全然醜いだなんて思わない!」
彼女は言った。
醜いなんて思わない?
そんなわけない。
近いうちに俺は捨てられるんだろう。
今は慰めておき、
後に捨てようとしているんだ、きっと。

案の定、俺は捨てられたわけだが、
その時の記憶は雅人によって消去された。


これが俺のした掟破りの恋の結末だ。
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