
この手を離さないで
第3章 第三章 日常
「何の話してんの?」
厨房からひょっこり顔を出したのは今日賄いを作ってくれた谷口さん
30歳ぐらいで優しい雰囲気の人
「谷口さん!
聞いて下さいよ~
とうとう渚にも春が来たみたいなんです」
来てねーよ。
「へぇ。渚ちゃん彼氏出来たの?」
うぅっ!谷口さんまで…
「いや、違うんです
相手が先に名乗って来たんで、私も言わなきゃ失礼だと思って教えただけなんです」
「ふーん。
相手の名前なんてゆーの?」
唯花が目を輝かせながら聞いてくる
「俊、」
「いきなり呼び捨てかよっ!
渚らしーわ(笑)」
あはは、とまた唯花は笑いだす
