テキストサイズ

優しくしないで

第10章 友情の取りこぼし


『……会ったの?』




剣の指にグッと力が入り…


肩を重く掴む…










「……会え……



花火大会が始まって……


少したった頃にあいつの家に着いたんだ…」




振り向くと…剣は眉間にシワを寄せていた



『剣…』







「…マンションの植木に…


人が寝てるのが見えて…





不自然だったから…近くに寄ってみたら…


太一だった…」






私は…
震える手で口を押さえた…


止まったはずの震えが…再度私を恐怖へ導く…




「でも…
あいつ…生きてたんだ…」


『!!!!!!えっ!!!だって…』



「俺が…発見したときは…息がまだあった…

だから…あいつ…俺に…」





太一が…





太一が…生きてた!!!



でも、なんで!!!





「あいつ…俺に…
“覚悟してたのに…痛てぇな…”って…言ったんだ

俺は必死に助けを呼んだよ!!!

あいつ…まだ…生きてたし!!!


痛てえって…痛てぇって…

救急車が来て……太一の母ちゃんと俺が付き添って…

病院まで……」

















しゃべっていた剣の声が…





止まった…






『剣…太一は…』








「…救急車の中で…



息をしなくなった………」













やっぱり……太一は…








ストーリーメニュー

TOPTOPへ