優しくしないで
第11章 何もできない…一日
プルル、プルル、プルル…
剣の携帯が鳴る
私は涙を拭いて…剣の行動を見つめる
「……はい…
…はい…明日、はい…
…解りました…皆には…あ…そうですか…はい…失礼します…」
ピ……
携帯を切って…剣は携帯を見つめた
「どうした?剣君…」
仁さんが、剣をうながす…
「…今、陸上部の顧問から…明日、火葬して……身内だけで葬儀するって
太一の母さんが…“剣君にはお世話になりました”って伝えてくれって…
後、事故死って事で生徒や陸上部の皆には伝えるから…って…」
明日…火葬…
夏の…遺体の状態を考えれば
早い対応だろう…
身内だけで…
剣は太一の最後を見取った…ゆいつの友人なのに…
なんとも…茅の外の扱い…
「…俺…何も出来ないのかよ!!!太一に…何も!!!」
携帯を握りしめ…
悔しそうに声を荒げる剣…
「…何も…何も出来ないんだよ…」