優しくしないで
第11章 何もできない…一日
「仁さん…」
剣は、仁さんの冷たい言葉に一瞬フリーズしてしまった…
「……友達…の立場じゃあ…何も出来ないんだよ…」
『…友達の…立場…』
剣はギッと仁さんを睨み!!!胸元につかみ掛かった!!!
「何で!何か出来るはずだ!!!」
「…今…一番辛いのは…
ご家族だ……
その、家族に…何かするのかい?今…君に何が出来る?
親友…は…家族にはなれない
友達は…葬儀…には…口出せない…見守るしか…出来ないんだよ」
剣の手が…仁さんの胸元から…スルリと落ちた…
『剣…』
「…何も…出来なかった…
昨日…救急車で俺は…ホントに何も出来なかった…
思い出したよ…
病院に着いてからも…
処置室に入っても…
俺は…廊下で…立ってるしか…出来なかった……」
「冷たいようだけど…
それが現実…
友達の立場って……意外に…残酷な…ポジションだから」
剣の肩を優しく撫でる仁さんは…
少し…遠い目をした…
今の私たちは…
何も出来ない………