
永遠というウソ
第5章 彼の秘密…
裕己斗に冷たく話したという事実は
覚えていたけど
ベースの音を聴いて、
この人が怖いという感情は
忘れていた。
『ベース、上手ですね』
『お!?あ、あぁ。ありがと。』
彼は一瞬ビックリした。
急に話しかけたからかな?
いや、それにしてもビックリしすぎだろ…
何でだろう…
『隣に座っていいですか?』
『いいよ。』
もう、彼はさっきみたいにビックリして
キョドったりしていなかった。
さっきのはビックリしすぎだよな~
いきなり声かけたのが
やっぱり悪かったかな~
『ベース弾いてください。』
『イヤだよ。真剣に聴かれるの苦手。』
『上手ですから。お願いします。』
『やだって。あと、同じクラスだから
敬語やめて。』
『うん!わかったから。ね?お願い!』
あんなに上手なのに
何で人に聴かせないんだろう…?
『わかったよ。間違っても笑うなよ?』
『うん♪ありがと!』
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
昔からベースの音が好きだったな~
よく、いろんなバンドを聴いては
ベースの音を探してた。
あの低い音が大好き!落ち着く♪
あー、上手だなぁ。
杉田君ってスゴいな~。
目をつぶって
耳に綺麗なベースの音が入ってくる
のを静かに楽しむ。
『あー、やっぱ恥ずかしい!』
そう言って杉田君は
やめてしまった。
『えー!もっと聴いてたかったのに…』
『下手だもん。』
『下手じゃないって。
聴かれたくないのに
何でここで弾いてるの?』
『誰も、お前みたいに真剣に聴かないし
どうせ、ギターの方が人気あるしw』
『私はベースの方が好きだよ♪』
『そーなんだ。』
『うん。だから弾いて!』
『しつこいな~w
じゃ、聴きたくなったらここで
弾いてるから来いよ。』
『いいの?』
『弾いてって言ったのお前だろ?ww』
『ありがと!あ、私は石松ゆりです。』
『知ってるよ。』
『なんで?』
『だって、す…
あ、いや同じクラスだから』
『あ、良く考えたらそうかww』
今、すって言ったよね…
すってなに?ww
