テキストサイズ

最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

「これを受け取ってくれ、真戸那」
 誕生日、おめでとう。
 次いで耳許で囁かれた刹那、藍那はハッとした。そういえば、今日は私の誕生日だった。愕いたことに、二百年前に、日本でいえば江戸時代末期に生きていた琉球王国の若い王妃は誕生日まで自分と同じだったらしい。
 でも、今はそんなことはあまり問題にはならないように思える。自分ですらすっかり忘れてしまっていた誕生日、十八歳になる記念すべき日を大好きな男がちゃんと憶えていてくれていたということが嬉しい。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ