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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第4章 Forever~永遠~

 王さまはきっと私の心を思いやり、少しでも軽くしようとして敢えて否定なさらなかっのだ。そう思うと、尚更哀しみが込み上げてきた。優しい王らしい配慮である。
「首里天加那志はお優しすぎます」
 王は何も言わず、ただ静かに笑っているだけだった。
 泣くなと言われたばかりなのに、藍那は堪らず嗚咽を洩らした。噛みしめた唇からはすすり泣きの声が洩れた。

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