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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第4章 Forever~永遠~

 王国ができた頃よりずっと歴代王や王朝の栄枯盛衰を見守ってきたこの樹ならば、今、重い病と闘っている王を救ってくれるのではないかと一縷の望みを抱いてやって来たのである。
 既に南国の陽は地平の向こうに沈み、庭は薄い闇に包まれようとしていた。女人の眉のように細い月がガジュマルの樹の向こうに危うげに掛かっている。

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