
ロイヤル&スレイヴ!
第4章 3.ウワサのあのコとあの4人
そんな話をしているうちに私たちは二階建ての白い四角い建物の前に到着した。
この白い建物こそが、現在私の住むアパート。
私はこのアパートの二階に現在、一応、一人暮らし。
「ね、楓くん。時間大丈夫?」
アパートを見上げている楓くんに向かって、私は首を傾げた。
「え、うん!時間全然大丈夫!」
勢いよく私の方に身を翻した楓くんの表情が瞬く間に華やいだ。
喜んでくれていることが伝わってくる笑顔と相まって、即答で返してくれるリアクションが嬉しい。
「よかった。じゃあ、私のお家で寄り道していってくれないかな?」
「いいの!?」
「うん。ケーキ屋さんやドーナツ屋さんにはかなわないかもしれないけど、お礼させてほしいの」
「やったー!未結大好きーっ!」
ぴょん、と無邪気に跳ねては、そのまま私に抱き付く楓くん。
人懐っこさと甘えん坊な彼に翻弄されっぱなし。
だけど、視聴覚室に駆けつけてくれた時も、こんな風に躊躇せず抱きしめてくれたよね。
何の衒いもなく、素直な感情で喜んでくれたり心配してくれたり。
なにより、とっても嬉しそうに私の名前を呼んでくれるから、私は楓くんにどんどん魅了されていく。
もし、楓くんが私の弟だったら、きっと毎日がすごく明るく過ごせそう。
……私がものすごくブラコンになりそうだけど。
ありがとう、楓くん。私も楓くんのこと大好きだよ。
