
ロイヤル&スレイヴ!
第4章 3.ウワサのあのコとあの4人
「あ、未結ちゃんだー」
「未結ちゃん、こんにちわー!」
途中、近所に住む小学生の子たちとすれ違った。
もうすぐ三時に差し掛かろうとするこの時間帯は、
小学生たちの下校時間とも重なっていてちょっぴりにぎやか。
「かなちゃん、あみちゃんこんにちは。お稽古頑張ってね」
ピアノと音符の刺繍つきトートバックを抱えて、パタパタと駆けていく二人の女の子たち。
幼稚園のころから同じピアノ教室に通っているんだと、以前教えてくれたっけ。
仲良く手をつないで走る様子が微笑ましくて、私は手を振って見送った。
「未結ちゃん、って呼ばれてるんだ?」
私と同じように女の子たちに手を振っていた楓くんが問う。
案の定だけど、女の子たちは楓くんを見た瞬間頬を一気に火照らせて可愛らしくはしゃいでいた。
小学生でも女の子。
素敵な男の子に微笑まれて、ドキドキしない子はいない。
「うん。ご近所さんなの。
それに近くに小学校があるから、自然と色んな子と知り合いになるんだよね」
「じゃあ未結は皆の憧れのお姉さんなんだ」
「え、う、うーん…。それはどうかな」
憧れのお姉さん。
改まって言葉にされると照れ臭いようなむず痒いような。
そんな恥ずかしさがこみ上げてくる。
そもそも、憧れてもらえる要素が思い当たらないので私は笑ってごまかした。
