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ロイヤル&スレイヴ!

第2章 1.ここが土鈴学園


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「転入初日から不便をかけて、悪かったな。俺がお前の転入する2年5組の担任の、楯無 柳也だ」

皇城くんのおかげで職員室にたどり着いた私は通りかかった男の先生に用件を告げると、無事に取り次いでもらえた。

本館の二階にある職員室は出入り口付近にちょっとした歓談スペースがあったので、ここで待つようにと指示を受けて、待つこと数分。

担任の先生と思われる男性が、こちらに向かって軽く手を振りながら近づいてくるのが見えた。

「斎宮 未結です。これからよろしくお願いします」

私は慌てて立ち上がり頭を下げた。

「おう。まあ、そうカタくならなくても大丈夫だぞ。かしこまる必要もない。そんな丁寧に挨拶してくれたのは斎宮が初めてだしな」

そういって楯無先生は笑う。

シンプルなブラックのカットソーに落ち着いたグレーのニットを合わせ、生地のよさそうなカーキのパンツといった、全体を落ち着いた色合いでまとめた服装なのに、

ちっとも地味に見えないのは、先生の手足の長さと教師とは信じがたい整った容姿のせいだった。

皇城くんといい、楯無先生といい、ここに来て出会う人たちの容姿のレベルがことごとく高い。

この学園の人間は皆そうなんだろうか、とまたもや圧倒された私は、自分がこの場にいることが場違いに思えてならなかった。

「敷地だけは馬鹿みたいに広いからな、この学校。自分がここにすっかり慣れきって、すっかり失念してしまった」

「……先生はこの学校長いんですか?」

「ん、ああ。俺、この学校の卒業生なんだよ。大学もここの付属出てるし」

「母校思いなんですね。卒業した後に先生として戻ってこられるなんて」

「んー……。『キング』としてだいぶ好き勝手してたから、恩返しというか罪滅ぼしみたいな感じが否めないけどな」

先生は昔を思い出したのか、恥ずかしそうに苦笑する。

その様子を見ながら私は『キング』という、あまり日常生活では耳にすることのない言葉に首をかしげた。

キング……王様?何かのトップだった……ってことなのかな?

「よし、んじゃあさっそく教室行くか」

先生がファイル類を抱え、ソファから腰を上げたので私もそれに倣った。

教室に向かう道中、先生は正門から登校した時のルートを教えてくれたり、クラスの雰囲気や、今日の予定諸々を話してくれた。

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