
ロイヤル&スレイヴ!
第2章 1.ここが土鈴学園
机も椅子も学校机っていうより、テレビとかでよく見る大学の講義室みたい。
横の人と机がつながっているタイプだけど、椅子だけは個別に動かせる、オフィス椅子だ。
足元もモスグリーンのじゅうたんになってて……教室だというのに、やっぱり高級感あるなぁ。
ちょっとだけ、気持ちを落ち着かせることができたので、深呼吸。
「美園高校から転校してきました。斎宮 未結です。よろしくお願いします」
うまく挨拶できた気がする。
ほっとして、少しだけ笑みがこぼれた。
……あれ?
皆、びっくりした顔してる。
っていうか呆けてる!?先生まで!?
私、変な顔してるんじゃ――!?
顔が真っ赤になっていくのがわかった。
全身が一瞬で熱くなって、とにかく恥ずかしくなったので、思いっきり頭を下げて顔を隠した。
「じゃあ、斎宮の席だな。空いてるとこ……お前ら、新学期早々、勝手に好きな席座ったな」
教室をぐるりと見渡した先生が、やれやれとため息をつく。
すると教室からは笑い声が沸いた。
いいじゃん、ちゃんと自分たちで決めたんだからー。
ホームルーム席替えで潰れないんだしむしろ褒めてよー。
などと、楽しそうな声が行き交う。
「後ろの窓際が空いてるのか。隣は……番屋か。あいつどこ行った」
後ろの窓際、といわれたので教室の奥を見ると、蛍光グリーンがワンポイントで入っているブラックのリュックサックが置かれたきりだった。
「番屋くんなら、席取ってどっかいっちゃいましたー」
前の席にいた女の子が答える。
「やっぱりか。まあいいや。――斎宮、席はあそこな」
「あ、はいっ」
言われた席まで小走りになる。
後ろの席は教室が見渡せるので、転入生の私にぴったりだと思う。
窓際からは気持ちいい風が吹いた。
外の景色が見れるのもポイント高い。
あと気になるのは……隣の人。
どんな人なんだろう。
番屋くんって呼ばれてた。
男の子なのかな。
「よし、じゃあ始業式の放送入るまで、配布物渡してくぞ」
先生の声で我に返った私は、あわてて鞄を置く。
ちょっと緊張するし、ソワソワするけど……ここが私の教室なんだ。
隣に置いたままのリュックサックに目をやって、私は自分の席に着いた。
