ロイヤル&スレイヴ!
第3章 2,学園生活スタート。
場所覚えられるかな、なんて考えながら理科準備室の前を通り過ぎようとしたときだった。
扉からガタガタ、と物音がした。
「……今、物音がした」
扉の前に立ち止まった私を、滝くんは首をかしげて見つめる。
「俺、聞こえなかったけど」ときょとんとしていた。
すると、またガタガタ、と音がする。
今度はさっきよりも大きい音。
「だれか、いるのかも」
私は扉に手をかけてみる。
鍵がかかっているのか、引いてみても動く様子はない。
せめて誰かいるのか、それとも物が落ちただけなのか確認したくて、ノックをしてみる。
「え、ちょ、ちょっと未結!?」
あせった様子で滝くんにノックした手をぎゅっと、つかまれてしまった。
「だって、中に誰かいるのかもしれないし」
「いや、その……」
なんだかひどく歯切れの悪い様子の滝くんだ。
「出られなくて困ってるかもしれないんだよ?」
滝くんがどうして止めるのかがわからなくて、
私もムキになってしまう。
捕まれた方とは反対の手を出すと、扉をノックした。
「未結!?」
「すみません、中に誰か――」
私のノックの音で、扉の向こうから息を呑む音がわずかに聞こえた。
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