
ロイヤル&スレイヴ!
第3章 2,学園生活スタート。
*
「きょーすけ、助けて!今俺、泣きそう!」
「ああ、そうですか。どうぞ勝手に泣いててください」
音楽の授業が終わり、未結と別れた後。
俺は、自分のクラスに戻ると
小難しい本を開いている恭介の下へ全速力で駆け寄った。
ひどく迷惑そうに眉間にしわを寄せる恭介は
ホント血も涙もない悪魔だと思う。
「未結に見られた、ヤってるところ!!」
「……それは、最低ですね滝」
要点だけをしゃべったつもりだったんだけど
コイツ、なんか勘違いしてる?
と、思いきや、なんだか背中に突き刺さるたくさんの視線を感じる。
恐る恐る教室を見渡すと
クラスメイト達が怪訝通り越して
犯罪者でも見たような目をしていた。
「ちょ、違う違う!俺がヤってるとこじゃないって!」
「移動教室の途中、どこかのカップルか何かの情事にでも出くわしましたか?」
「そう、それ!」
ようやく誤解が解けたのか
クスクスとあちこちで笑い声がおきて――ぽつぽつと視線が外れていった。
俺と恭介がしゃべっているのはいつものことだから
変な騒ぎが終わった後はいつもの教室の空気だ。
「この学園で生活していくなら
知っておいてもらわないといけないことじゃないですか」
しれっと、答える恭介。
