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ロイヤル&スレイヴ!

第4章 3.ウワサのあのコとあの4人


当然、扉をあけた猛くんは言葉を遮えぎられて驚いていた。

けれど、さすが幼馴染。

慣れた様子で楓くんの腕を解くと、何もなかったように「はいはい」と楓くんの柔らかそうな髪をぽん、と撫でた。

「お前、何しに来たの。邪魔?」

「え、ちょっと猛ちゃんひどい、冷たい!」

ぷくり、と頬を膨らます楓くんをよそに猛くんはスタスタと横を通り過ぎてしまった。

そうしていつもの場所――鳩峰先生の机の上にリュックを放り投げると、保健室中央にあるワインレッドのカウチソファに倒れこむ。

「俺はお前の兄貴のせいで疲れてんの。はー…みーゆー。なんか甘いものなーい?」

座り心地抜群のソファには、寝心地抜群のクッションも揃っていて、猛くんはそのクッションを手繰り寄せてごろん、と寝っ転がっていた。

「甘いもの…ミルクティでも淹れようか?」

「うん、飲む」

楯無先生に搾られたっていうのは本当みたいで、ぐったりした様子の猛くんは言葉少なく即答する。

「じゃあ、準備するから、ちょっと待っててね?」

「ん。さんきゅ」


私は早速立ち上がると、給湯器のあるミニキッチンへむかった。

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