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ロイヤル&スレイヴ!

第4章 3.ウワサのあのコとあの4人


暁くんが言っていた「気をつけて」という言葉の意味を、私はついに、身をもって理解することとなった。



今日の午前中最後の授業は体育。

トロイ、ドンくさい、動けないの三拍子がそろった私にとって、体育は教科の中でも一、二を争う苦手教科だ。

実技で成績が左右されるというのも大きい。

他の教科みたいに予習復習でカバーしきれないのだもの。

だから授業が来るたびに憂鬱だったんだけど。

…もちろん今日のバドミントンも散々だったけど、私の心は明るく弾んでいた。

苦手な体育を乗り切れたのは、楓くんと猛くんと滝くんの三人でお弁当を食べる約束をしていたから。

やっぱり楽しみやご褒美が先に待ってると思うと頑張れるよね。


そう。

保健室で出会ったあの日以来、楓くんは頻繁に私に会いに来てくれるようになった。

一緒にお昼を食べたり、学内で出会ったときに声をかけてくれたり。

…たぶん、仲良しの猛くんを私が独り占めしちゃってるせいもあるんだと思う。
楓くんが会いに来てくれるのは。

楓くん、猛くんの幼馴染って言ってたし。

仲良しだったらやっぱり会いたいよね。

私ってば、ありがたいことに学校で過ごすほとんどの時間、猛くんと一緒にいるから…ううん。

この場合は、面倒を見てもらっているっていう方が正しいのかな。

私なんかが猛くんを独占だなんて、と時々申し訳なさで心が痛むときもあるけど。

面倒を見てもらっているおかげで楓くんや滝くんとも出会えて、仲良くなれた。


両親の失踪から始まって、この学園に転入して。

私を取り巻く状況は、
なかなかに目まぐるしく変わっていくけれど。

出会う人達に恵まれているおかげで、私は毎日を満ち足りた気持ちで過ごすことができている。


出会いに感謝、感謝。

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