
ロイヤル&スレイヴ!
第4章 3.ウワサのあのコとあの4人
東堂、と名乗った男の子は、和やか、穏やかという言葉が似合う子。
私がお昼休みに約束があることを伝えると、
それじゃあ急いで先生のところへいかないと、ふわりとした笑顔で返してくれた。
学内を熟知している子が付き添ってくれてやっぱり正解だったかも。
東堂くんは歩くペースを気にかけてくれながら、目的地までを案内してくれた。
私一人でだと絶対こんなスムーズにいかなかっただろうな。
絶対転入初日の二の舞になっていたと思う。
「あれ?」
ここです、と東堂くんが連れてきてくれたのは、本館にある職員室…ではなかった。
ここは特別棟とよばれる建物。
案内された場所を確認しようと扉上部にあるプレートを見上げてみたところ、『視聴覚室』とある。
先生が待っている、と聞いててっきり職員室だとばかり思っていた私は、
首を傾けて隣にいる東堂くんの横顔を見る。
私の困惑に気付いたのか、東堂くんは私の方に向くと、優しく笑みを浮かべて答えてくれた。
「先生はここで次の授業の準備があるそうです。斎宮さんに直してもらいたい書類は持ってきてある、と言っておられましたよ」
「そうなんだ」
東堂くんの説明で合点がいった私は、困惑していたもやもやも解消されて頷く。
先生も忙しいのに、私のことで手を煩わせてしまっているんだし、なるべく早く終わらせなきゃ。
三人だって待たせてるんだし。
「さ、入りましょう」
東堂くんが扉を引いて中へ入るのを促してくれる。
どうやら、付き添ってくれるみたい。
でも。
案内を申し出てくれた彼だけれど、これ以上私の用事に付き合わせるのは心苦しい気がした。
なにせ今は貴重なお昼休みの時間でもある。
私は彼の方をちらりと見た。
「東堂くんありがとう。もうここで――」
大丈夫だよ、と言いかけた言葉はそのまま途切れてしまった。
グイ、と大きな力で何者かに腕を引っ張られたからだ。
