
ロイヤル&スレイヴ!
第4章 3.ウワサのあのコとあの4人
喧騒が収まるのに、
ずっとしがみついていた、と形容する程の時間は、かからなかった。
「――そっちから殴り掛かっといて、なぁ、もう終わり?」
抑揚なく、けれども吐き捨てるようなこの物言いは、猛くんの声。
「おーい猛チャン。恭介が穏便にって言ってただろ」
この声は、暁くん。
「穏便にする必要ないじゃん、少なくとも俺にはそのつもりないよ?」
続くのは、滝くん。
「つもりがなくても、です。彼らにはいろいろ聞かなきゃいけないことも残ってるんで」
そして、恭介くん。
あの5人の影の正体達はまるでなんでもなかったかのように会話を交わす。
彼らがいかにこういう場に慣れているのかを物語っていた。
「もう、終わったよ」
ずっと私を抱きしめていてくれた腕の力が緩んだ。
恐る恐る私は教室を見渡す。
脚の折れた椅子やら、机があちこちに散らばっていて、
その惨状の中に生徒たちが倒れ込んでいた。
途切れ途切れにうめき声や、喉で引っかかっているような喘鳴が聞こえてくる。
「――首謀者は、お前?東堂」
横たわる東堂くんに近づいた滝くんは、髪の毛ごと引っ張り頭を持ち上げて問い詰める。
「はっ……正義の味方面して、俺たちを裁こうとでも?」
口元を歪ませた東堂くんは、滑稽だと言わんばかりに挑発的な笑みを浮かべた。
滝くんは無言のまま、見つめる。
その滝くんの様子に、弱点を突かれて黙り込んでいると思い込んだのか、
東堂くんはそのまま言葉を続けた。
「言っておくけど、俺たちはこの学校の規則を破っちゃいない」
「……黙れ」
淡々とした低い声だった。
