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婦人の娘の名は秋野波（あきのなみ）といい社長令嬢だそうだ。
だがそれゆえに誘拐されかかったことが何度かあるらしい。
ある日、この探偵事務所の前を通りかかった時、波によく似た子を見かけて影武者になってもらおうと思ったという訳だそうだ。

「その波さんにそっくりなのが私ってことですね？」

美奈が言う。

「ちょっと待って下さい！」

純が声を上げた。

「ってことは下手すりゃ美奈が誘拐されるってことですよね。そんな危険なこと…」

「純、やめなさい。」

「でも…」

「『でも』じゃないの！」