
刻々と…
第4章 距離
(え…)
ドキッ…
(なんで…?)
「あれ?…弥生…ちゃん?」
マスターの大きな目がより一層大きくなった
「あ…こんばん…わ…」
なんとなく返事をしてしまった
マスターが目の前に立ってつり革に捕まる
「縁あるね!仕事帰りだね!お疲れ様です!」
声…でかい…
「はい…ありがとうございます」
「弥生ちゃんの家は逆方向じゃないの?」
「ちょっと買い物に…マスター…声…大きいです…」
「あ!ごめんごめん!すみませーん!」
隣に立っていたサラリーマンが迷惑そうに新聞を読み直す
「買い物って○○百貨店?」
今度は少し声が小さくなった
「えぇ…」
「それならさ…」
『ご乗車ありがとうございます○○~○○~』
着いちゃった
「降りよっか?」
「ぁ…そうですね」
(マスターも同じ駅なんだもんね…)
シートの温かさが…
少し名残惜しい気もした…
