シアワセ∞経路
第7章 釣り合わない天秤
次の日の夜、私一人で家にいるところにパパが帰って来た。
まともに寝ていないのか、家に帰って来る時はいつも疲れ切った顔をしている。
「あれ、パパ帰ってきたんだ。おかえりなさい」
「風子、ただいま。唯子は?」
「ママは、あれから帰ってきてないよ」
パパは椅子に座り、私の言葉を疑うかのように部屋をぐるりと見渡した。
「はぁ……。あいつ、またか……」
冷蔵庫の冷却音が聞こえるほど静かな部屋から状況を感じ取ったのか、パパはガクンと肩を落とした。
重たい空気を変えるために、私は冷蔵庫の前に立って違う話題を切り出す。
「パパ、何か食べる?この前、スーパーに冷凍食品の噂のライスバーガーが売ってたから買ってきたんだ。これでも食べ……」
私がパパの方を向いた時には、もうテーブルの上にうつ伏せになって眠っていた。
こんなところですぐに寝付くなんて、相当疲れていることに違いない。
近くにあったブランケットをパパの大きな背中にそっと掛けてあげた。
私がどんな頑張ったとしても、パパとママの溝はもう塞がらない。
この先二人がどうなるかなんて目に見えてる。
子どもでもそれが分かる……。