テキストサイズ

シアワセ∞経路

第15章 雨が上がったら





「違う。居場所になるって約束したから、いたわけじゃない。
風子の隣にいて、楽しかったし、居心地もよかった。……好きだから一緒にいたんだよ」





「……でも、……私……」





目の周りがさらに熱くなって、溢れてくるものに歯止めが利かなくなる。




本当、泣き虫で感情に流されてばかり。


分かっているのに、自制できない。







「もう、それ以上自分を嫌わなくていいから」






その言葉がくると同時に、ソラの腕の中に抱き寄せられた。





今まで背負ってきた辛いかったものが落ちて、心が満たされていく。





「うん……」






不幸の出来事の多さから、幸せになることを心の中で無意識に避けてきた。





こんなに大切に思って貰えているのに、言葉という形がないと不安になって、勝手に思い込んで疑って。




ソラの言っていることは本当なのが、この抱きしめられる温かさからやっと思い知った。





私の方こそ、ごめんなさい……。




心の中で謝って、私もソラの背中にゆっくりと手を回した。






少し経ってから顔を上げると、わずかに残っている灰色の雲から眩しい太陽の光がもれていた。




まるで、私の心境を映しているかのように、雨は都合よく上がって。




目の前に広がる雨上がりの景色が輝いて見えた。





「風子、一緒に帰ろう」





愛おしそうに名前を呼んで差し出してくれたソラの手を取った。




この居場所が大好きで、自然と笑みがこぼれる。



好きでいるのを諦めないで良かった。



やっぱり、あなたの隣にいれるのが私にとっての幸せだよ。







ストーリーメニュー

TOPTOPへ