シアワセ∞経路
第16章 あの日に戻れたら
「……分かった」
「いいの……?」
「うん。こういう事は急ぐ必要ないと思うから。……ずっと待ってる」
「……ありがとう」
安堵してから、わずかに涙が滲みながらも微笑み返した。
大切な人に想われる気持ちって、こんなにも温かいものなんだ。
知らなかった……。
雨にたくさん濡れて、居場所としている約束が終わった時、もう二度とこんな時間が訪れるなんて思っていなかった。
悲しかった思い出が、どんどん浄化されていく。
これからは、楽しい思い出が増えると思うと先が待ち遠しくなってくる。
そのためには、まず曖昧にさせていることにけじめをつけないといけない……。
話し合って、ちゃんと終わらせてみせる……。
そう、心に誓ったんだけど――……