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狼くんと羊ちゃん~空回り~

第6章 翔の想い。

~憲人side~

「はぁっ~?できねぇのかよ。なら手伝ってやるよ笑」

ごめんな。
翔、お前の気持ちが本物か
試してぇんだ。

さっきから怯えた顔をして 
フェンスから手を離そうとしない翔

俺は一歩一歩近づき
翔の手首を強引に引き剥がした。

「ほら。落ちろよ!・・・・なにお前?今更死ねねぇの?」

翔が手首をつかんでいる俺の手を
剥がそうとするのが分かる。


「ったく、手間取らせんな!!!」

そう言って、もうひとつの手も離そうとする。

ガシャ、ガシャッー

「なんで、離さねぇの?死にてぇのに手ぇ、離さないのはなんで?」

声を落として
静かに優しく呟く。



・・・・翔、裕希の取り巻きとたのしそーだったじゃんか。 



なのになんでこんなこと
してんだ?



教えてくれ


お前の心は、今なに考えてる?



表面上の言葉じゃなくて
お前の気持ち、聞かせて?


俺に教えて。




しばらく沈黙が続いたあと、翔が泣きそうな声で

呟く。

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