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第1章 約束
「えっ?…本当にいいのかよ?」
俺の言葉に京香は
小さくコクリと頷いた。
そっと京香の頬に触れてみる。
「あゆむ……」
クルリとした大きな瞳に
瞼が落ちてゆく。
近くで見ると京香って
こんなに睫毛長かったんだ
京香の小さな顔に
見惚れてしまう。
「歩……」
目を閉じ俺の名前を呼ぶ京香。
こんなに近くで
俺の名前を呼んでくれている
それだけで紅く火照ってくる身体。
今、京香に顔見られたら
絶対俺、顔赤いし!
だぁーチキショー!!
心臓がバクバク鳴って可笑しいっ。
うわっ、顔が…
京香の…かっ、顔が近くて…
「あゆむ…」
「歩……」
んっ?
そんなに俺の名前呼ばなくても、
大丈夫だって…
「あゆむ~!」
俺にだって、その…
心の準備って言うものが
あるんですけど…
遠くから聴こえていた
名前を呼ばれる声が
段々と近くに聴こえてくる
アレ?
何か可笑しくね?
「歩っ!!」
突然、耳元で大きく劈いた
「うわぁっ!!」
「うわぁっ!じゃないわよ!全く…あんた学校から帰ってきたと思ったら昼寝なんかして!」
母親に怒鳴られた声で
慌てて起きる俺。
学校から一緒に帰ってきたが
その後は俺の勝手な妄想……
どうやら夢だったらしい…
ハァ…何だ夢かよ…
それにしても、リアルだった
クソぉおおー!!
あと少しで京香と…
邪魔すんなよっ!クソババァ!!
「ほらっ!いつまでも寝ぼけてないで!京香ちゃんが玄関で待ってるわよ!お祭り行くんでしょ?」
えっ!?
京香が待ってる??
ハッ?お祭り?
そんな約束してないはずだけど
俺は慌てて着替えて
京香の元に向かった。
