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僕は絵しか描けない

第8章 コンテストの結果

時計仕掛けに絵を似せるな、それが詩子さんからついた注文のひとつだ。

注文は他にもある。

近未来的であること。

カジュアル過ぎず、品のある服装であること。

内面の狂気を醸し出すこと。

普段作画にうるさい注文をつけない詩子さんがこれだけの注文をつけてくるということは異例だ。

コンテストの結果がよほど効いたと思われる。

僕はそれに応えるだけの能力はないと思う。
けれどやれるだけやるしかない。

漫画を描き始めたのは妹尾さんと仲良くなるためで、その目的はもはや失われている。

しかし乗りかかった船だ。

最後まで全力を尽くす。

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