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僕は絵しか描けない

第10章 ファーストキス

花火のあとは焚き火の前で雑談というお決まりのパターン。

夜が更けてきた頃、詩子さんが立ち上がった。

「じゃあそろそろロッジに入ろうか。漫画も進めないといけないし」

「うん。そうだね」

妹尾さんも同意して立ち上がる。

「本当に漫画描くんだ……」

こんな日も休まないとは詩子さんの熱意は凄まじい。

剛史のあとをついてロッジに向かって歩いて行くと詩子さんに腕を引っ張られた。

「ちょっとどこ行くの? クロはこっちだよ?」

「へっ?」

小さなロッジは二つ借りられていて、当然僕と剛史の男用と詩子さんと妹尾さんの女用だと思っていた。

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