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僕は絵しか描けない

第3章 信頼関係

「あっ!?」「あっ!?」

入ってきた部員と目があった瞬間、お互いに声をあげてしまった。

やって来たのは僕がもっとも苦手とする人間だったからだ。

「詩子の言っていた作画担当って黒沢だったの!?」

絵の具で汚しまくった白衣を羽織ったその人物の名は馬場綾香(ばばあやか)。

なにかにつけ僕に突っ掛かってくる奴だ。

彼女も僕と同じで絵を描くのが好きな人間だった。
ただ、彼女の描くものは一般人には理解がしがたい。

デッサンが過激なまでに斬新だったり、色使いが驚くくらいに過激だったり。

そんな彼女だからピカソだとか天才(笑)だとか言われ、みんなから囃し立てられていた。

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