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僕は絵しか描けない

第3章 信頼関係

相変わらず歯に衣着せぬ詩子さんの確信をついた言葉に苦笑いが溢れてしまう。

『凹んだからこそ、描けたのかな』

思わず本音を漏らして返信した。

顔を会わせると言えないことも簡単に言えてしまうのがメールのいいところだし、怖いところでもある。

詩子さんの返信を待っていたらメールではなく電話がかかってきた。

「はいくろさ--」
「今から行くよっ!! クロの家って上中駅の近くだろ? 駅で待ち合わせね!!」

「ちょっと待ってよっ!! 十時だよ!? 明日でいいんじゃない?」

「今すぐ見たいのっ!! じゃ、二十分後にっ!!」

相変わらず一方的な詩子さんは返事も待たずに電話を切る。

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