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僕は絵しか描けない

第3章 信頼関係

「私の作品じゃないでしょっ!!」

人差し指を僕の鼻先に突き付ける。

「私たちの作品、でしょ!!」

「僕たちの……?」

「あったり前でしょ? クロが絵、描くんだからクロの作品でもあるんだよ?」

そんな当たり前のことだけど僕は全く考えてもいなかった。

「僕の作品、でもあるのか……」

「そ。頑張ろうね、クロ」

相変わらず何の躊躇いもなく詩子さんは僕の手を握り締めた。

けど今度は僕もその手をすぐにはほどかなかった。

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